工場の探し物を減らすには?工具・備品の置き場所と定位置管理の見直し方

作業を始めようとしたのに、六角レンチが見つからない。

台車を使いたいのに、いつもの場所に置かれていない。

測定器を探すために、複数の設備や別工程まで歩き回る。

こうした探し物が、毎日のように発生していないでしょうか。

探し物が多いと、「使った人が戻していない」「整理整頓の意識が低い」と考えられがちです。

しかし、問題は探す人や戻さない人だけにあるとは限りません。

どこへ戻すべきかが明確でなければ、「あとで戻そう」と思っていても、人によって置き場所が変わります。その結果、次に使う人が現場中を探すことになります。

問題なのは、物が見つからないことだけではありません。

探さなければ必要な物が見つからない環境が、当たり前になっていることです。

この記事では、工具や備品の探し物がなくならない理由と、よく探す物から始める定位置管理、実際の作業に合わせて「戻る定位置」をつくる方法を紹介します。

目次

工具や備品を探す時間が増えると何が起きるのか

探し物が多い現場では、必要な工具や備品を探すことが、作業の一部になっています。

一回の探し物は数分でも、それが毎日のように繰り返されると、

・作業開始が遅れる

・他の作業者へ場所を確認する手間が増える

・現場内を歩き回るムダな移動が発生する

といった影響につながります。

さらに、複数の作業者が同じように探し物をしていれば、そのロスは現場全体へ広がります。

問題は、作業者が探すのが遅いことではありません。

必要な物を使うたびに、場所を確認しなければならない状態になっていることが問題です。

なぜ工具や備品の探し物がなくならないのか

探し物がなくならない大きな理由は、工具や備品の戻し先が明確になっていないことです。

「使ったら元に戻す」というルールがあっても、「元の場所」が人によって違えば、物の場所は安定しません。

例えば、測定器を使ったあと、「少し後でまた使うから」と近くの作業台へ置くことがあります。

そのまま別の作業へ移ったり、作業終了の時間になったりすると、測定器が戻されないまま残ることがあります。

また、「工具棚へ戻す」

「設備横へ置く」

「作業台の引き出しへ入れる」

など、人によって戻し方が違えば、次に使う人はどこを探せばよいか分かりません。

つまり、探し物が発生する原因は注意不足だけではなく、誰でも同じ場所へ戻せる基準が揃っていないことにあります。

定位置管理ができていない現場のサイン

定位置管理が十分にできているかどうかは、現場の状態から確認できます。

例えば、

・同じ工具でも置き場所が人によって違う

・保管場所に表示がなく、戻す場所が分かりにくい

・担当者へ聞かなければ必要な物が見つからない

・本来の置き場所にないことが日常化している

といった状態です。

特に、「この工具ならあの人に聞けば分かる」という状態は、置き場所ではなく人の記憶で管理している状態です。

担当者が不在になると、他の作業者は必要な物を見つけられません。

また、台車や測定器などを使った場所の近くへそのまま置く習慣があると、本人には分かっていても、次に使う人には分からなくなります。

このような状態が見られる場合は、物の管理が人の判断や記憶に依存していないかを確認する必要があります。

まずは「よく探している物」から改善する

探し物を減らそうとして、最初からすべての工具や備品を整理する必要はありません。まずは、毎日のように探している物がないかを確認してみましょう。

例えば、

「この工具はよく誰かに場所を聞いている」

「この台車は使いたいときにいつも見つからない」

「この測定器は設備周辺を探すことが多い」

といった物です。

「頻度×人数×時間」で優先順位を考える

よく探す物が複数ある場合は、

探す頻度 × 探している人数 × 1回にかかる時間

という視点で考えると、どこから改善するかを決めやすくなります。

例えば、1人が月に1回探す工具よりも、複数の作業者が毎日のように探している工具の方が、現場全体への影響は大きくなります。

正確に時間を測ることが目的ではありません。

まずは、

・よく探している

・複数の人が探している

・見つかるまでに時間がかかっている

という物がないか確認します。

この3つが重なる物があれば、優先して見直す候補になります。

改善する物を決めたら、「この物は、誰でも戻す場所が分かる状態になっているか」を確認します。

最初からすべてを改善するのではなく、現場で探す時間が多く発生している物から一つずつ見直してみましょう。

探し物を減らす「戻る定位置」のつくり方

探し物を減らすには、「使ったら戻すように」と注意するだけでは十分ではありません。

また、単に空いている棚を「定位置」に決めればよいわけでもありません。

必要なのは、誰が使っても場所が分かり、使ったあとに無理なく戻せる状態をつくることです。

1.作業後に戻しやすい場所を定位置にする

まず確認したいのは、

「この場所なら、使ったあとに無理なく戻せるか」ということです。

定位置が作業場所から遠すぎると、

「あとで戻そう」「また使うからここでいい」

と、作業場所の近くへ仮置きされやすくなります。

そのため、定位置を決めるときは、

・どこで使うことが多いか

・どのくらいの頻度で使うか

・戻すためだけに余計な移動が発生していないか

を確認します。

定位置を決めたのに近くへの仮置きが続く場合は、作業者への注意だけでなく、そもそも戻しにくい場所を定位置にしていないかを見直してみましょう。

2.「何を・何個戻すか」が分かるようにする

置き場所を決めたら、誰でも分かるように表示します。

名称だけでなく、工具の写真や輪郭、置く位置などを表示すると、戻す場所を判断しやすくなります。

さらに、複数の工具を管理する場合は、個数まで分かるようにしておくと、

「どこへ戻すか」だけでなく「何が戻っていないか」も確認しやすくなります。

例えば、工具の輪郭に合わせて置き場所を決めておけば、一つ空いているだけでも不足している物に気づきやすくなります。

表示は、きれいに見せるためだけではありません。

戻す場所と、戻っていない物を誰でも判断できる状態にすることが目的です。

3.共用工具は「誰が・どこで使っているか」を分かるようにする

共用工具の場合、定位置にないからといって、必ずしも紛失しているわけではありません。

別の作業者が使用していることもあります。

しかし、その状況が分からなければ、

「誰か持っていない?」

「どこで使っている?」

と確認することになり、再び探す時間が発生します。

貸出札や簡単な記入欄などを使って、

誰が・どこで使っているのか

が分かるようにしておけば、定位置になくても所在を確認しやすくなります。

複雑な管理方法にするのではなく、現場で無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。

4.同じ工具が複数ある場合は、使用場所ごとに戻す位置を決める

同じ工具を複数の設備や工程で使用している場合、すべてを一か所へ集めることが使いやすいとは限りません。

例えば、設備Aと設備Bで同じ工具を頻繁に使うのであれば、

「設備A用」

「設備B用」

と使用場所ごとに定位置を分ける方法もあります。

一か所に集めたことで、工具を取りに行く移動が増えたり、使った場所に置いたままになったりするのであれば、現在の定位置が作業の流れに合っていない可能性があります。

整理しやすい場所ではなく、実際に使う場所や頻度から定位置を考えることがポイントです。

5.戻らないときは「なぜそこに置くのか」を確認する

定位置を決めても、同じ場所への仮置きが繰り返されることがあります。

そんなときは、

「決めた場所へ戻してください」

と注意するだけでなく、

「なぜ、この場所に置くことが多いのか」

を確認してみましょう。

作業場所から近い、次の作業ですぐ使う、戻す場所まで遠いなど、繰り返し同じ場所へ置かれるのには理由があるかもしれません。

何度注意しても同じ場所へ戻ってくるのであれば、その場所が現場にとって使いやすい位置になっている可能性もあります。

その場合は、作業者だけではなく、定位置そのものが現在の作業動線に合っているかを見直します。

定位置管理は、一度場所を決めたら終わりではありません。

実際に使ってみて戻らないのであれば、その理由を確認し、置き場所を調整することも定位置管理の一部です。

まとめ

工具や備品を探す時間が減らない現場では、作業者の意識だけに原因があるとは限りません。

置き場所が決まっていなかったり、表示が分かりにくかったりすると、人によって戻す場所が変わります。

まずは、すべての工具や備品を整理するのではなく、

「よく探す」「複数人が探す」「探す時間が長い」

物がないか確認してみましょう。

改善する物を決めたら、

戻しやすい場所を決める
↓
何を・何個戻すか分かるようにする
↓
共用工具は誰が・どこで使っているか分かるようにする
↓
同じ工具が複数ある場合は、使用場所ごとの配置も検討する
↓
戻らない場合は、作業動線や使用頻度に合った場所か見直す

という順番で確認します。

大切なのは、単に「定位置を決める」ことではありません。

実際の作業の中で、誰でも迷わず戻せる定位置になっているかまで確認することです。

定位置を決める具体的な考え方や、現場で定着させるための工夫については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

▶ 工具や備品の定位置化とは?置き場所の決め方と5S改善事例

よくある質問(FAQ)

なぜ工具や備品の探し物がなくならないのですか?

工具や備品の戻し先が明確になっていないと、人によって置く場所が変わるためです。また、定位置が決まっていても、作業場所から遠いなど戻しにくい場所になっていると、近くへの仮置きが増えることがあります。

探し物が多い場合、どの工具から改善すればよいですか?

「よく探す」「複数人が探す」「探す時間が長い」という物から確認してみましょう。探す頻度・人数・時間を目安にすると、現場への影響が大きい物を見つけやすくなります。

定位置を決めるときは何を基準にすればよいですか?

実際に使う場所や使用頻度を確認し、使ったあとに無理なく戻せる場所かどうかを基準にします。空いている場所ではなく、作業動線に合っているかを見ることが大切です。

共用工具が定位置にない場合はどうすればよいですか?

貸出札や記入欄などを使い、「誰が・どこで使っているか」が分かる状態にすると、使用中の工具を探し回る時間を減らしやすくなります。

定位置を決めても工具が戻らない場合はどうすればよいですか?

まず「なぜその場所に置くのか」を確認しましょう。同じ場所への仮置きが繰り返される場合は、現在の定位置が作業場所から遠いなど、作業動線や使用頻度に合っていない可能性があります。

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