会社の方針を部下にどう伝える?具体的な行動につなげる3つの問い

会社の方針を部下へ説明すると、「それで、自分たちは何をすればいいんですか?」と聞かれることはないでしょうか。

リーダーも、その場ですべての答えを用意できるとは限りません。そんなときは、部下がどう受け取ったかを聞きながら、自分たちの仕事に置き換えて考える方法があります。

「無駄を減らす」「品質を大切にする」といった言葉の意味は分かっても、具体的にどの仕事を変えるのかまでは、伝わりにくいことがあります。

この記事では、会社の方針を具体的な行動につなげるための3つの問いと、実施後に説明を見直す方法を紹介します。

目次

会社の方針を聞いても、「何をするか」までは同じにならない

会社の方針は、製造、営業、管理など、立場の違う人へ共通して伝えるため、「無駄を減らす」「安全を優先する」といった幅のある言葉になることがあります。

例えば「無駄を減らす」と聞いて、材料の使い方を見直そうと考える人もいれば、作業時間や確認作業を減らそうと考える人もいるでしょう。

同じ方針を聞いていても、何を変えるか、どこまで変えてよいかの受け取り方は異なることがあります。

そのため、具体的な行動を考える前に、「会社は何を変えようとしているのか」「なぜこの方針を大切にしているのか」という目的を共有しておくことが大切です。

例えば「無駄を減らす」という方針でも、単に作業時間や費用を減らせばよいとは限りません。安全や品質を守りながら、不要な作業や費用を見直すことが求められている場合もあります。

会社の意図を確認しないまま行動だけを決めると、本来守るべきことまで変えてしまう可能性があります。

そこで、方針の目的を共有したうえで、次の3つの問いを使って具体的な仕事へ置き換えていきます。

① 現場ではどう受け取った?

② 変えること・守ることは何?

③ まず何を一つやる?

リーダーがすべての答えを用意するのではなく、部下が思い浮かべた仕事を聞きながら、見直す範囲と最初の行動を一緒に整理する進め方です。

「現場ではどう受け取った?」と聞いてみる

会社の方針と、その方針を大切にする目的を共有したら、部下が自分の仕事では何をすることだと受け取ったのかを聞いてみます。

その確認に使えるのが、

「この方針を聞いて、今の仕事で何を変えることだと思った?」

という問いです。

例えば「無駄を減らす」という方針でも、次のような答えが出るかもしれません。

・工具を探す時間を減らす

・材料を取りに行く回数を減らす

・確認作業の回数を減らす

ここで知りたいのは、部下が方針をどの仕事と結びつけ、何を変えることだと受け取ったのかです。

まずは答えを修正するのではなく、「なぜその仕事を思い浮かべたのか」まで聞いてみます。

例えば「材料を取りに行く回数を減らす」という答えなら、「どんなときに何度も取りに行っている?」「なぜそこを変えられそうだと思った?」と、実際の仕事について聞いてみます。

すぐに意見が出ない場合は、「昨日、工具を探したり、同じ作業をやり直したりした場面はあった?」など、最近の仕事を振り返るところから始めてもよいでしょう。

具体的な仕事を挙げてもらうことで、リーダーが想定していた内容と、部下が考えていた内容の違いにも気づきやすくなります。

実例|全社員向け研修の内容を見直したケース

ある製造業の会社では、安全対策事業について全社員向けの研修を行う際、内容や進め方を見直しました。

当初は、担当者が準備した内容を説明することが中心でした。しかし、「社員が内容を理解し、自分たちの仕事と結びつけて考えられるか」という視点で見直しました。

そこで、会社として伝えたい情報を一方的に説明するのではなく、実際に記事を読んで意見を交わす時間を設けました。

伝えたいことをすべて説明するよりも、相手がどう受け取り、自分の仕事とどう結びつけるかを考えられるようにする。

この事例は、会社の方針そのものを具体的な行動に置き換えたものではありませんが、説明する側だけで内容を決めず、受け取る側の理解を考えて進め方を見直した例です。

部下へ方針を説明するときも、同じように、相手が何を理解し、どの仕事を思い浮かべたのかを聞くことから始められます。

「変えること」と「守ること」を分ける

部下が方針をどう受け取ったのかが見えてきたら、今回見直すことと、引き続き守ることを整理します。

例えば「経費を抑える」という方針を、「できるだけ買わない」と受け取ると、安全や品質のために必要なものまで削ってしまう可能性があります。

そこで、会社がその方針を示した目的も確認しながら、次のように分けて考えます。

変える:使っていない備品や、必要以上の在庫を見直す

守る:安全や品質のために必要なものは確保する

これは線引きの参考例です。実際には、会社の意図や仕事の条件に合わせて、何を見直す対象とし、何をこれまでどおり守るのかを具体的に確認します。

リーダー自身にも判断できなければ、「この備品の購入も見直すという意味ですか?」など、具体的な場面を挙げて上司へ確認します。

その際、部下にも、すでに決まっていることと、まだ確認が必要なことを分けて伝えます。

何を変えるかと合わせて、何を守るかも共有する。

特に安全や品質に関わる手順は、方針の意味を推測して変更せず、基準や手順、確認先に従って対応します。

「まず何を一つやる?」まで決める

方針の目的や、変えること・守ることを話し合っても、「意味は分かった」で終わると、実際の仕事で何をするのかが曖昧なまま残ることがあります。

そこで、最後に、

「では、次の仕事で何を一つやってみる?」

と聞き、取り組む場面と行動を具体的にします。

例えば「無駄を減らす」という方針なら、

「次の作業で工具を探すことがあったら、何を探したか一つ控えておく」

という始め方があります。

「探す時間を減らそう」だけでは、具体的に何をするのかまでは決まっていません。

一方、「何を探したかを控える」と決めれば、次の仕事で行うことが明確になります。

また、記録を残しておけば、どの工具が探しにくいのか、置き場所や表示に問題があるのかを確認する材料にもなります。最初から大きな改善を決めるのではなく、今の仕事で何が起きているのかを確かめることから始める方法もあります。

担当する仕事が違えば、取り組む行動も同じである必要はありません。

製造では工具を探す時間、管理では書類を重複して入力している作業など、それぞれの仕事から考えます。ただし、前の章で確認した「守ること」は共通の前提にします。

自分の仕事では、いつ、何をするのかまで具体的にする。

方針を理解するだけで終わらせず、次の仕事で実際に取り組める行動まで整理することが、会社の考えを日々の仕事につなげる一歩になります。

やってみて迷った点を、次の説明に加える

具体的な行動を決めても、実際に仕事をすると、「こういう場合はどうすればよいのか」「ここまで変えてよいのかと思っていた」など、説明したときには出てこなかった疑問が見つかることがあります。

そこで、仕事の区切りに、実際に取り組んでみて迷った場面がなかったかを聞いてみます。

例えば、前の章で紹介した「工具を探したら記録する」という取り組みです。

記録を確認したところ、同じ工具を何度も探していることが分かったとします。

その場合、置き場所が分かりにくいのか、使用後に元の場所へ戻しにくいのかなど、実際の仕事を確認しながら見直すことが考えられます。

一方で、「使う場所の近くに置いた方がよいと思うが、今の保管ルールを変えてよいのか」と迷うこともあるでしょう。

そのような場合は、なぜ現在の置き場所になっているのか、変更しても安全や品質に問題がないかを確認します。リーダーだけで判断できない部分は、上司や担当部署へ相談します。

ここで分かったことは、次に同じ方針を説明するときにも使えます。

例えば、

「前回は工具の置き場所を変えてよいか迷ったので、今回は保管ルールを確認してから見直そう」

と実際に迷った場面を共有すれば、何を確認してから行動すればよいのかも具体的になります。

一度で伝え切ろうとせず、実施後に出てきた疑問を次の説明に加える。

こうして、伝える→行動する→迷った点を確認する→次の説明に生かすことを繰り返すことで、会社の方針と普段の仕事とのつながりを具体的にしていきます。

まとめ

会社の方針を具体的な行動につなげるには、まず「何のためにこの方針を大切にするのか」という目的を共有したうえで、次の3つの問いを使って自分たちの仕事に置き換えていきます。

① 現場ではどう受け取った?

部下がどの仕事を思い浮かべ、何を変えることだと受け取ったのかを確認します。

② 変えること・守ることは何?

見直す範囲と、引き続き守ることを整理します。

③ まず何を一つやる?

次の仕事で、いつ、何をするのかまで具体的にします。

判断できない部分は上司へ確認し、実際に取り組んでみて迷いが出たら、その内容を次の説明に加えます。

まずは最近の仕事を一つ取り上げ、「この方針を聞いて、自分の仕事では何を変えることだと思った?」と聞くところから始めてみましょう。

具体的な行動が決まったら、日々の仕事の中で続けられるようにすることも大切です。

次の記事では、「安全第一」を例に、朝礼での共有や記録・振り返りを通じて行動を定着させる方法を紹介します。

▶ 安全第一が行動につながらないのはなぜ?現場に安全意識を定着させる方法

よくある質問(FAQ)

会社の方針は、そのまま伝えた方が正確ではありませんか?

元の言葉を共有したうえで、自分たちの仕事では何をするかを整理します。 会社の方針と、仕事に置き換えた説明を分けて伝えることで、元の意図との違いも確認しやすくなります。

自分なりに説明すると、会社の意図とずれませんか?

分からない部分は、リーダー自身の解釈だけで判断せず、上司や方針を示した人へ確認します。「経費を抑えるために、この備品の購入も見直すという意味ですか?」など、具体的な仕事を挙げて聞くと、確認する内容を絞れます。

部下から「今の仕事では難しい」と言われたら?

まずは、どの作業で何が難しいのかを聞いてみます。方針の意味が分からないのか、時間や人手が足りないのかによって対応は変わります。部署だけで対応できない部分は、上司へ相談します。

部署や担当によって、取り組むことが違ってもよいですか?

同じ会社の方針でも、担当する仕事によって具体的な行動は異なります。

例えば「無駄を減らす」という方針なら、製造では工具を探す時間、管理では書類の重複入力など、それぞれの仕事から見直すことが考えられます。

大切なのは、会社がその方針を示した目的と、引き続き守ることを共通の前提にすることです。

上司に確認しても、方針の意味がはっきりしない場合は?

判断に迷う場面を具体的に挙げて確認します。それでも決まらなければ、確認中の部分と、すでに決まっている範囲を分けて部下へ伝えます。

安全や品質に関わる手順は、必要な確認を取ってから変更します。

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