部下に言ったことが伝わらないのはなぜ?リーダーが見直したい「言葉と行動」のズレ

「分からないことがあったら確認して」「安全を優先して作業しよう」と伝えているのに、部下が確認せず進めてしまうことはないでしょうか。

そんなときは、伝え方だけではなく、納期が迫ったときや予定外の場面で、リーダー自身が何を確認し、どのように判断していたかを振り返ってみます。

リーダーが何を伝えるかだけでなく、実際の仕事でどのように判断し、行動しているかも、部下が会社の考え方を理解する材料になります。

この記事では、言葉と行動が違って見えやすい場面と、判断理由の伝え方、自分の対応を見直す方法を紹介します。

目次

部下は「言われたこと」と「リーダーの行動」の両方を見ている

普段から「確認してから進めよう」と伝えていても、納期が迫った日に、リーダーが「今回はそのまま進めよう」と判断したとします。

その理由が共有されていなければ、部下には「確認してからと言っていたのに、今回は確認せず進めた」と、普段の説明と行動が違って見えることがあります。

そこから、「納期が迫っていたら、そのまま進めてもよいのかな」と受け取られることもあります。

ただし、言葉と行動が違って見えるからといって、必ずしもリーダーが決まりを守っていないとは限りません。

例えば、必要な確認が別の工程で済んでいた場合と、本来必要な確認を省いてしまった場合では、状況が異なります。

前者は、部下に判断の理由が伝わっていなかった可能性があります。一方、後者は、リーダー自身の対応を見直す必要があります。

この違いを確認しないまま「説明が足りなかった」と考えると、本来見直すべき行動まで、伝え方だけの問題として扱ってしまうかもしれません。

まずは、部下から見て言葉と行動が違って見えた場面で、実際には何が起きていたのかを確認することから始めます。

予定外の場面で、自分の判断と行動を振り返る

普段と違う判断や対応が必要になる場面では、リーダーが日頃伝えていることと、実際の行動との関係を振り返ることができます。

例えば、次のような場面です。

・納期が迫っている

・設備や製品に予定外の問題が出た

・急な変更が入った

こうした場面では、普段と同じように仕事を進められないこともあります。

例えば「品質を大切にしよう」と伝えていても、納期が迫ったときに「今回は時間がないから、このまま進めよう」とだけ伝えたとします。

そのとき、必要な品質確認は済んでいたのか。それとも、急ぐあまり確認を省こうとしていたのか。

同じ「このまま進めよう」という言葉でも、実際の判断内容によって意味は変わります。

そこで、最近の対応を振り返るときは、次のような点を確認してみます。

「そのとき、何を確認していたか」

「なぜ、その対応を選んだのか」

「普段伝えていることと違う部分はなかったか」

例えば、必要な品質確認が済んでいたのであれば、その事実を部下に伝えていたかを振り返ります。

一方、確認が済んでいないまま進めようとしていたのであれば、判断そのものを見直す必要があります。

普段と違う対応をした場面を振り返り、説明が足りなかったのか、行動に問題があったのかを確かめる。

そのうえで、必要な対応を考えていきます。

普段と違う判断をしたら、何が違うのかを伝える

状況によって普段と違う判断をするときは、その判断ができた条件を部下にも共有します。

例えば、

「通常はこうする。でも今回は○○を確認できているため、こうする」

という伝え方です。

必要な寸法確認が別工程で済んでおり、その結果を使って次の工程へ進められる手順になっている場合は、

「今回は別工程で必要な寸法確認が済んでいる。その結果を確認できたので、次へ進める」

と説明できます。

これなら、確認を省いたのではなく、必要な確認が済んでいることを前提に判断したと分かります。

一方、設備からいつもと違う音が出ているなど、普段とは条件が異なる場合もあります。

そのまま進めてよいか判断できなければ、

「今回は原因が分からないから、一度止めて確認する」

と、何が普段と違うのかを伝えます。

どちらの場合も、単に「今回は特別だから」と説明するのではなく、何を確認し、どの条件が普段とは違ったために、その対応を選んだのかを共有します。

また、今回と似た場面でも、同じ対応ができるとは限りません。

「今回は必要な確認が済んでいたから進めた。確認できていない場合は、進める前に相談して」

と、その判断が使える条件も補足します。

詳しい経緯はあとから共有できますが、作業を進めるために必要な条件や注意点は、その場で伝えます。

判断を変えたときは「何が分かったのか」も共有する

一度決めた方法でも、実際に試した結果をもとに見直すことがあります。

その場合は、変更する内容だけでなく、何を試し、どのような結果が出たのかも共有します。

実例|パイプの曲げ加工で条件変更を検討したケース

ある製造現場では、パイプの曲げ加工で、加工条件の変更が提案されました。

摩耗した部分を補修すると、加工位置のずれは改善したものの、表面に傷が出ました。

補修部分を削ると傷は軽減されましたが、位置のずれが再発しました。

そこで曲げ半径を変えて試したところ、ずれの量がほぼ一定になったため、条件の変更が提案されました。

この経緯を共有せずに「曲げ半径を変えよう」とだけ伝えると、なぜそれまでの方法から変更するのかが分かりにくくなります。

そこで、

「補修すると傷が出て、削るとずれが再発した。別の曲げ半径で試したところ、ずれの量がほぼ一定になったため、変更を提案している」

と、試したことと結果を順番に共有します。

何を試し、どのような結果が出たために判断を変えたのかを伝える。

そうすることで、「方法が変わった」という結果だけでなく、その判断に至った経緯も共有できます。

ただし、試した結果がよかったからといって、すぐに正式な方法として変更できるとは限りません。

試加工や提案の段階なのか、品質などの確認を経て正式な変更が決まったのかも分けて伝えます。

自分の行動がずれていたら、説明だけで終わらせない

部下に何度伝えても行動が変わらないと、「もっと強く言った方がよいのか」「もう一度説明した方がよいのか」と考えることがあります。

しかし、リーダー自身が普段伝えていることと違う行動を取っていた場合、説明を繰り返すだけでは解決しにくいことがあります。

例えば「確認してから進めよう」と伝えていたのに、自分も急ぐあまり必要な確認を飛ばしてしまった場合です。

そのときは、

「さっきは私も急いで確認を飛ばしてしまった。必要な確認だったので、確認してから進める」

と、何が問題だったのかを伝え、自分の対応を修正します。

必要な確認を省いてしまったことを、あとから理由をつけて正当化するのではなく、決められた手順に沿って対応し直します。

また、部下から「前も同じように進めていましたよね」と言われた場合も、すぐに否定するのではなく、どの作業や場面を指しているのかを聞いてみます。

リーダーと部下が、違う場面を思い浮かべている可能性もあります。

確認した結果、必要な手順を守っていたのであれば、そのときの条件を説明します。

一方、自分の対応に問題があったと分かった場合は、その場面を振り返り、同じことを繰り返さないために何を変えるかを考えます。

自分の行動に問題があったときは、説明だけでなく、実際の対応も直す。

部下に求めている行動を、リーダー自身も普段の仕事で実践できているか。ときどき振り返ってみることが大切です。

まとめ

部下に伝えたことが行動につながらないときは、説明の仕方だけでなく、リーダー自身の判断や行動も振り返ってみます。

特に、普段と違う対応をした場面では、次の3つを確認します。

① 条件が違うために判断を変えたなら、その理由を伝える

② 試した結果から判断を変えたなら、何が分かったのかを共有する

③ 必要な確認を飛ばしていたなら、認めて対応を直す

状況に応じて判断を変えることと、必要な確認を省いてしまうことは別です。

理由の共有が足りなかったのであれば説明を補い、自分の行動に問題があったのであれば、必要な対応を修正します。

まずは最近、普段と違う対応をした場面を一つ選び、「何を確認して、なぜその判断をしたのか」を振り返るところから始めてみましょう。

言葉と行動をそろえるには、日々の仕事の中で繰り返し振り返ることも大切です。

次の記事では、「安全第一」を例に、リーダー自身の行動や朝礼・記録を通じて、現場に考え方を定着させる方法を紹介します。

▶ 安全第一が行動につながらないのはなぜ?現場に安全意識を定着させる方法

よくある質問(FAQ)

状況によって違う判断をすると、部下が混乱しませんか?

判断が変わった理由が共有されていないと、普段との違いが分かりにくくなることがあります。

何を確認したのか、どの条件が普段と違ったのかを添えて、今回その対応を選んだ理由を伝えます。また、同じ対応がほかの場面でも使えるとは限らないことも共有します。

忙しいときに、理由まで説明する時間がありません

「必要な確認は別工程で済んでいる」など、判断に関係する理由を短く添えます。

詳しい経緯はあとから補足できますが、作業を進めるために必要な注意点や条件は、その場で伝えます。

部下に「前と言っていることが違う」と言われたらどうしますか?

まず、どの説明と、どの場面での行動が違って見えたのかを確認します。

条件が違ったために判断を変えたのであれば、その違いを説明します。一方、自分の対応が普段伝えていることから外れていたのであれば、必要な行動も修正します。

自分の間違いを認めると、部下に示しがつかなくなりませんか?

間違いがあった場合は、理由をつけて正当化するのではなく、「ここは私も確認が足りなかった。必要な確認だったので、次からは確認してから進める」など、何が違っていたのかと、今後どのように行動するのかを伝えます。

大切なのは、間違いを認めるだけで終わらず、必要な行動を実際に修正することです。

理由が伝わったかどうかは、どう確認しますか?

「次に似た場面があったら、何を確認してから進める?」など、次の行動を聞いてみる方法があります。

答えを聞くことで、今回の判断で何を確認する必要があったのか、どの条件が重要だったのかを共有できているか確かめられます。

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