「通路はあるのに、人と台車が交差してヒヤリとする」
「材料や工具を取りに行くために何度も往復している」
こうした状態は、工場の「安全動線」を見直すことで改善できる場合があります。
この記事では、安全動線とは何か、どこを確認し、どう改善するのかを、実際の改善事例とともに紹介します。
工場の安全動線とは?目的と5Sとの関係

安全動線とは、人・台車・フォークリフトなどができるだけ交差せず、安全に移動できるように整えた通路や経路のことです。
工場では、作業者だけでなく、材料や製品、台車などさまざまなものが同じ空間を移動します。
それぞれの動きが重なったり、通路が狭くなったりすると、接触やつまずきなどの危険につながります。
そのため、安全動線では、誰が・何が・どこを通るのかを整理することが重要です。
5Sとの関係
安全動線を考えるうえで、5Sによる整理・整頓も関係します。
通路に物が置かれていたり、工具や材料の置き場が決まっていなかったりすると、計画した動線を使いにくくなります。
5Sで通路や置き場を整えたうえで、人・台車・フォークリフトなどの動きを考えることで、安全動線を設計しやすくなります。
工場で見直したい危険な動線とは?
安全動線を改善する前に、まずは自社の工場に次のような状態がないか確認してみましょう。
① 人と台車・フォークリフトの動線が交差している
歩行者と台車、フォークリフトなどが同じ場所を頻繁に通ると、接触する危険が高まります。特に、曲がり角や出入口など、お互いが見えにくい場所では注意が必要です。
② 通路が狭く、物の仮置きでさらに通りにくくなる
通路自体は確保されていても、材料や完成品などが一時的に置かれることで、通れる範囲が狭くなることがあります。人や台車が避けながら通っている場所は、動線を見直すポイントです。
③ 材料や工具を取りに何度も往復している
安全動線は、事故防止だけでなく作業効率にも関係します。材料や工具の置き場が作業場所から遠く、何度も往復している場合は、物の配置を見直すことで移動を減らせる可能性があります。
④ 曲がり角や設備で先が見えにくい
設備や棚などで通路の先が見えず、人同士や台車とぶつかりそうになる場所も注意が必要です。このように、「危ない」と感じる場所だけでなく、「通りにくい」「何度も歩く」と感じる場所も動線改善のヒントになります。
安全動線を改善する4つのステップ
安全動線は、
実際の動きを見る → 問題箇所を見つける → 改善する → 見直す
という流れで進めると整理しやすくなります。
STEP1 実際の人・物の動きを見る
まずは、作業者・台車・フォークリフトがどこを通っているのか確認します。動画を撮ったり、工場全体を見渡せる場所から観察したりすると、普段は気づきにくい動きも見えやすくなります。

📝 実例
実際の現場では、二階から工場全体を観察することで、「通路を広げる」「棚を入口近くへ移動する」といった改善案が見つかりました。また、別部署など普段その作業をしていない人に見てもらうと、作業者自身では気づきにくい動きが見つかることもあります。
STEP2 危険箇所やムダな動きを見つける
次に、実際の動きから問題箇所を探します。
人と台車が交差する、通路が狭い、見通しが悪い、何度も往復するといった場所がないか確認します。
ヒヤリハットや、作業者の「通りにくい」「使いにくい」という声も改善のヒントになります。
STEP3 通路・配置・ルールを見直す

問題箇所が分かったら、人と台車の通路を分ける、物の置き場を変える、床ラインや標識を付けるなどの改善を行います。
誰が見ても、どこを通るのか分かる状態にすることがポイントです。
📝 実例
ある現場では、大きなオーダーメイド製作物が入る可能性があるため、安全通路を作りにくいという課題がありました。
しかし、数か月にわたって稼働状況を確認すると、大きな製作物が入るのは月に1件あるかないか程度でした。そこで、まず支障のない場所から安全通路を整備したところ、通路への物の仮置きが減り、ほかの場所にも通路を広げる動きにつながりました。
STEP4 現場の変化に合わせて見直す
設備の配置や作業内容が変われば、使いやすい動線も変わります。
一度作って終わりにせず、現場の変化に合わせて見直すことが大切です。
写真で見る安全動線の改善事例3選
ここからは、実際に安全動線をどのように改善したのか、ビフォーアフターで紹介します。
① 機械周辺|工具の置き場を決めて通路を確保
問題: 機械周辺に工具や部品が置かれ、作業スペースと通路の境目が分かりにくい状態でした。
改善: 工具の置き場を決め、作業する場所と人が通る場所を分けました。
変化: 移動しやすくなり、工具や部品につまずいたり接触したりするリスクも減らせました。


② 在庫置き場|通路と物を置く場所を分ける
問題: 空いている場所に在庫が置かれ、どこを通ればよいか分かりにくくなっていました。
改善: 棚や在庫の配置を整理し、人や台車が通る場所を確保しました。
変化: 通路が分かりやすくなり、人や台車が移動しやすくなりました。


③ 歩行通路|床ラインで通る場所を見える化
問題: 歩くスペースは空いていても、どこを通ればよいのか明確ではありませんでした。
改善: 床にラインや矢印を表示し、歩行する場所を明確にしました。
変化: 初めて現場に入る人でも、どこを歩けばよいのか判断しやすくなりました。


床を塗装したことで生まれた変化
安全通路を整備する際、もともとコンクリートだった床を明るい色に塗装しました。
その結果、光が反射して工場全体が明るくなり、床の汚れにも気づきやすくなりました。
安全通路を分かりやすくしただけでなく、清掃や職場環境を見直すきっかけにもなりました。
改善した安全動線を維持するポイント
安全動線を作っても、時間が経つと通路へ物が置かれたり、作業内容が変わって使いにくくなったりすることがあります。
そのため、定期的に通路や動線を確認します。
確認するポイントは、
・通路に物が置かれていないか
・「通りにくい」「使いにくい」という場所がないか
・床ラインや標識が現在の作業に合っているか
などです。
特に、同じ場所に何度も物が置かれる場合は、「ルールを守っていない」で終わらせず、その場所に物を置きたくなる理由がないかを確認してみましょう。
近くに必要な置き場がないなど、配置そのものに原因がある可能性もあります。
作業者の意見も取り入れながら、実際の作業に合った通路・配置・ルールへ更新していくことが、安全動線を維持するポイントです。
まとめ
安全動線を改善するときは、最初から大きくレイアウトを変える必要はありません。
まずは、自社の工場に、
人と台車が交差している場所
通りにくくなっている通路
何度も往復している作業
がないか確認してみましょう。
そこから、
実際の動きを見る → 問題箇所を見つける → 通路・配置・ルールを改善する → 現場の変化に合わせて見直す
という流れで進めていきます。
安全動線を見直した後は、工具や備品の置き場所まで整えることで、さらに移動や探し物を減らせる可能性があります。
▶ 工具や備品の定位置化とは?置き場所の決め方と5S改善事例
よくある質問(FAQ)
- 安全動線は5Sをしていなくても作れますか?
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安全動線だけを見直すこともできますが、通路に物が置かれていたり、置き場が定まっていなかったりすると維持しにくくなります。
まず整理・整頓で通路や置き場を整えたうえで、人や台車の動きを確認すると改善しやすくなります。
- 動線を整えれば事故を防げますか?
-
動線を分けたり通路を明確にしたりすることで、接触やつまずきなどのリスクを減らすことにつながります。
ただし、動線だけですべての事故を防げるわけではないため、設備や作業方法などもあわせて確認することが重要です。
- 動線改善には大きな費用が必要ですか?
-
必ずしも大きな設備投資が必要とは限りません。
床ラインを引く、棚の位置を変える、物の置き場を見直すなど、小さな改善から始められる場合もあります。大規模なレイアウト変更が必要な場合は、現場への影響や費用を確認しながら進めましょう。
- 作業者が決めた動線を守らない場合はどうすればよいですか?
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まず、床ラインや標識などで通る場所が分かりやすくなっているか確認します。
繰り返し守られない場合は、ルールだけでなく、その動線が実際の作業に合っているかを見直すことも重要です。
作業環境によっては、安全柵などを使って人と設備・車両の動線を物理的に分ける方法もあります。
- 一度整えた動線を長く維持するには?
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定期的に通路を確認し、設備の配置や作業内容が変わったときに動線も見直します。
同じ場所で何度も問題が起こる場合は、現場の意見も取り入れながら配置やルールを調整しましょう。




