工場の安全対策は必要だと分かっていても、予算や優先順位の問題から、思うように改善が進まない企業も少なくありません。
工場の安全対策を進めたいと思っていても、
「現場に危険な場所があるが、何から改善すればよいか分からない」
「安全対策を進めたいが、予算の確保が難しい」
「安全対策に活用できる補助金があるか知りたい」
と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
工場の安全対策では、代表的な制度として「エイジフレンドリー補助金」と「業務改善助成金」があります。
・エイジフレンドリー補助金
・業務改善助成金
ただし、2つの制度では目的や対象、申請条件が異なります。補助金ありきで安全対策や設備を選ぶのではなく、まず現場の課題を整理し、改善目的に合った制度を選ぶことが大切です。
この記事では、2つの補助金の違いや対象となる設備、申請時の注意点について解説します。
工場の安全対策で検討できる代表的な補助金
工場の安全対策や設備改善で検討できる代表的な制度が、「エイジフレンドリー補助金」と「業務改善助成金」です。
どちらも設備などの導入を支援する制度ですが、目的や申請条件が異なります。まずは、それぞれの特徴を確認しましょう。
①エイジフレンドリー補助金とは
エイジフレンドリー補助金は、労働災害の防止につながる設備改善や取組を支援する制度です。 リスクアセスメントの結果を踏まえた設備改善や、熱中症対策などに活用できる場合があります。
申請には、労災保険が適用される60歳以上の労働者が常時1名以上働いていることなどの要件があります。
労働災害の防止や、安全な職場づくりを進めたい企業に適した補助金です。
②業務改善助成金とは
業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げとあわせて、生産性向上につながる設備投資などを支援する制度です。
搬送作業の省力化や製造工程の自動化など、作業時間の短縮や労働能率の向上につながる設備投資に活用できる場合があります。
2026年度は、事業場内最低賃金を50円以上引き上げるコースなどが設けられています。交付申請時には、賃金引上計画と業務改善計画の提出が必要です。
賃上げと設備投資をあわせて進めたい企業に適した助成金です。
補助金の対象となる安全対策と対象外となるケース
補助金を活用する際は、「どのような設備や工事が対象になるのか」を事前に確認することが大切です。制度によって対象となる内容は異なるため、自社が行いたい改善に合った補助金を選びましょう。
エイジフレンドリー補助金で対象となる安全対策
エイジフレンドリー補助金では、労働災害の防止につながる設備改善が対象となります。
例えば、
・手すりの設置
・段差の解消や滑り止め対策
・熱中症対策や身体的負担を軽減する設備
などが対象となる場合があります。
一方で、既存設備の単なる修繕や老朽化による更新などは、補助対象外となる場合があります。
業務改善助成金で対象となる設備・工事
業務改善助成金では、生産性向上につながる設備投資が対象です。
例えば、
・搬送作業を省力化する設備
・製造工程を効率化する生産設備
・作業時間の短縮につながる設備やシステム
などが対象となるケースがあります。
なお、対象となる設備や工事は、制度の要件や導入目的によって異なります。申請前に最新の公募要領を確認しましょう。
どちらを使える?2つの補助金を条件・目的で比較

どちらの補助金を選ぶかは、「どの設備を導入するか」ではなく、「何を改善したいか」を基準に考えることが大切です。改善の目的が明確になると、自社に合った補助金も選びやすくなります。
工場長の視点
現場の安全対策を進める際は、「どの設備を導入するか」よりも、「どのような事故や作業上のリスクを減らしたいのか」を整理することが重要です。改善したい課題が明確になると、必要な設備や活用できる補助金も判断しやすくなります。
総務担当者の視点
補助金は制度ごとに申請条件や必要書類、スケジュールが異なります。設備だけで判断するのではなく、自社が制度の要件を満たしているか、申請の準備を進められるかもあわせて確認しておきましょう。
安全担当者の視点
補助金を活用することを目的にするのではなく、まずはリスクアセスメントを行い、危険箇所や改善の優先順位を整理することが大切です。現場の課題を明確にしたうえで制度を選ぶことで、安全対策をより効果的に進められます。
補助金を活用する前に確認したい5つのポイント

①交付決定前に発注・契約をしない
原則として、交付決定前に発注・契約・購入した設備は補助対象になりません。交付決定通知を確認してから正式に発注しましょう。
②自社が申請条件を満たしているか確認する
エイジフレンドリー補助金には対象となる労働者の要件、業務改善助成金には賃上げなどの条件があります。 設備だけでなく、自社が要件を満たしているかも確認しましょう。
③設備の必要性と効果を整理する
申請では、「何を導入するか」だけでなく、「なぜ必要なのか」が重要です。設備導入による改善効果を説明できるようにしておきましょう。
④必要書類を早めに準備する
申請には、見積書、設備資料、計画書などが必要です。書類の準備や見積もりの取得には時間がかかるため、余裕を持って進めることが大切です。
⑤申請期限と予算状況を確認する
補助金は募集期間や予算に上限があります。受付終了となる場合もあるため、早めに準備を進めましょう。
補助金を探す前に「どこを改善すべきか」を整理しよう
補助金を有効活用するためには、まず現場の危険箇所や作業者の負担を把握することが大切です。補助金を探すことから始めるのではなく、「どこを改善すべきか」を明確にすることで、自社に合った制度を選びやすくなります。
現場の危険箇所を見える化する
設備や作業環境を確認し、次のような点を整理しましょう。
・どこに危険があるのか
・どのような事故が起こる可能性があるのか
・どの作業に大きな負担があるのか
現場の課題を見える化することで、改善すべきポイントが明確になります。
改善の優先順位を決める
すべてを一度に改善するのではなく、危険度や作業への影響が大きいものから優先的に取り組みましょう。改善の優先順位を決めることで、限られた予算の中でも効果的に安全対策を進められます。
補助金を活用できる改善を検討する
改善したい内容が整理できたら、それに合った補助金を検討します。
補助金は目的ではなく、安全対策を進めるための手段です。現場の課題に合った改善計画を立てることで、自社に適した制度を選びやすくなります。
第三者の視点で現場を確認する
毎日見慣れた現場では、「いつもの風景」になってしまい、危険に気付きにくくなることがあります。そのため、第三者の視点を取り入れることで、新たな危険や改善点に気づける場合もあります。
現場の課題を客観的に整理することが、安全対策を進める第一歩です。
まとめ
工場の安全対策や設備改善では、エイジフレンドリー補助金や業務改善助成金を活用できる場合があります。
エイジフレンドリー補助金は労働災害防止につながる取組、業務改善助成金は賃上げと生産性向上につながる設備投資を支援する制度です。
制度の目的や申請条件が異なるため、まず現場の課題と改善の優先順位を整理し、自社の目的に合った補助金を検討しましょう。
補助金は、申請すること自体が目的ではありません。現場をより安全で働きやすい環境にするための手段として活用することが大切です。
まずは現場の課題を整理し、自社に合った安全対策を検討することから始めましょう。
「あんしんファクトリーLABO」では、スマートフォンで現場の写真を送るだけで、第三者の視点から危険箇所や改善のヒントをご提案するオンライン診断を行っています。
「まず何から改善すればよいか分からない」
「自社では気づいていない危険がないか確認したい」
という方はぜひオンライン診断をご活用ください。
写真診断で現場の課題を整理したうえで、必要な安全対策や補助制度の活用を検討をすることをおすすめします。
安全対策は、補助金を活用することが目的ではありません。現場に合った改善を一歩ずつ積み重ねることが、事故のない職場づくりにつながります。

よくある質問
- 安全柵は補助金の対象になりますか?
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安全柵が一律に補助対象となるわけではありません。設置目的や改善内容、制度の要件によって判断されるため、最新の公募要領や申請窓口で確認しましょう。
- 補助金は設備を購入した後でも申請できますか?
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多くの補助金では、交付決定前に契約・発注・購入した設備は補助対象外です。必ず交付決定後に手続きを進めましょう。
- エイジフレンドリー補助金と業務改善助成金は併用できますか?
-
制度や対象経費によっては併用できる場合があります。ただし、同じ設備や工事に対して重複して補助を受けることはできません。
- 補助金を利用するには、まず何から始めればよいですか?
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まずは現場の危険箇所や改善したい課題を整理しましょう。改善内容が明確になると、自社に合った補助金を検討しやすくなります。
- 自社にはどちらの補助金が向いていますか?
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労働災害の防止を目的とした改善にはエイジフレンドリー補助金、賃上げとあわせて生産性向上を目指す場合は業務改善助成金が検討できます。まずは現場の課題を整理し、改善目的に合った制度を選びましょう。
判断に迷う場合は、現場の課題を整理したうえで専門家へ相談することをおすすめします。


