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労災ゼロと効率改善は両立できる!5Sが生産性にも効く理由

「現場が散らかっていて事故の危険がある」「探し物ばかりで作業が進まない」
そんな状況を上司から「すぐに改善して」と指示されたら、まず何から手をつけますか?「安全対策をすると作業効率が落ちるのでは?」と感じる方も少なくありません。

「安全対策をすると作業効率が落ちるのでは?」と感じる方も少なくありません。
しかし実際には、安全を優先するとムダな動作や事故による停止が減り、効率も高まります。
その解決のカギになるのが 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ) です。

5Sは単に工場を綺麗にするという取り組みではなく、事故を防ぎながら生産性を高める仕組みです。
小さな改善を積み重ねることで、現場を「安全で効率的に動く職場」へ変えていけます。が減り、効率も高まります。本記事では、5Sを文化として根付かせるための具体的なステップと実践ポイントを紹介します。

目次

1.安全対策で効率が落ちる?よくある誤解と両立の視点

現場で安全管理を考える時、「安全と効率、どちらを優先すべきか」と迷うことは少なくありません。
しかし、これはどちらかを優先するべきかという問題ではなく、両方を実現する視点が重要です。
京セラの創業者である故稲盛和夫氏は、経営破綻した日本航空(JAL)の再生の際、幹部から「人命と利益、どちらが大事なんですか」との質問に対して「両方だ」と答えています。
「安全なくして、この会社が存続するわけがない。安全は一番大事だ。だけどその大事な安全を守るためには、お金がかかるだろう?だったら安全を守るためには、利益も生まないとダメなんだ!」
と諭した逸話があります。
み重ねることで、現場を「安全で効率的に動く職場」へ変えていけます。

◎安全と効率の両立がなぜ重要か
事故が起きると生産が止まり、効率は大幅に下がります。一方、効率ばかりを重視して安全を軽視すると、労災やヒヤリハットが増えてしまいます。

安全重視に偏ると・・・
→安全確認を徹底しすぎて作業手順が遅れ、納期に間に合わない。

効率重視に偏ると・・・
→作業スピードを優先するあまり確認を省略し、事故が増える。

👉このように、片方だけを意識すると最終的に「安全と効率」の両方で目的が達成できない状態になります。

安全と効率を両立することで、事故や無駄な動作を防ぎ、結果として生産性の向上につながります。安全な環境で効率的に作業ができる仕組みを作ることが、現場改善の最大の狙いです。安全と効率の両立には、現場の仕組みづくりが必要です。そこで活用されるのが「5S」です。

2.事故防止と作業効率向上を両立する5Sの価値

一般的に勘違いされやすいことですが、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、単なる空いた時間に行う片付けや掃除のことではありません!5S活動は「安全と効率を同時に高める仕組み作り です。
特に最初の「整理・整頓」を徹底するだけでも、事故防止と効率改善に直結します。

◎なぜ5Sは定着しにくいのか?

5S活動が定着しにくい理由は、多くの現場で共通して見られるパターンがあります。代表的なものを3つ挙げます。

1. 形だけの活動に終始しやすい
「整理・整頓・清掃」を一時的に実施しても、その背景にある「なぜ必要か(安全・効率・品質向上のため)」が理解されていないと、単なる片付け作業に見えてしまいます。結果として「イベント的にやるもの」「指示があるときだけやるもの」になり、日常業務に結びつかず形骸化しやすい。

2. 管理者・リーダーのコミット不足
上層部や管理者、班長や工場長が本気で取り組まないと、現場社員も「どうせ一時的な活動だろう」と捉えてしまいます。特に、日常業務の納期や生産優先のプレッシャーの中では、5Sが後回しにされやすく、現場の習慣として定着しません。

3. 成果が見えにくく、モチベーションが続かない
5Sの効果(ムダの削減、事故防止、効率化)は中長期的に表れることが多く、短期的な成果がわかりにくいです。目に見える「達成感」や「数値効果」がないと、続ける意欲が弱まり、いつの間にか元に戻ってしまいます。

👉 こうした特性から、5Sは「文化」として定着させていくには、いくつかのコツやリーダーの時間とお金をかけてでも会社を変えよう」という熱意が必要となります。

私たちの取り組み

私たちはコロナ禍の直前から、6カ月かけて段階的に5Sを進め、文化として根付かせることに成功しました。

・前半3カ月:整理・整頓(不要物撤去、倉庫整理)
・後半3カ月:清掃・清潔・しつけ、3定(床面塗装やライン引きなど)

小さな改善からでもリーダーが継続していく ことが重要です。

まずはリーダーが小さな整理・整頓の改善から始めるだけでも効果があります。5Sは事故防止と効率改善を両立できる現場の共通基盤であり、段階的に取り組むことで、誰が行っても「続けられる仕組み」として根付かせることを最重要目標としましょう。

3. 5Sで現場の安全を守る実践例

労災ゼロを目指すなら、まずは物の管理を徹底することが第一歩です。

・整理とは「捨てること」→不要なものと必要なものを区別する→物を減らす
・工具の置き場所を決めてテプラで明記 → 誰でも迷わず取り出せる(整頓のテクニック)
・床に放置されていた物を棚に収納 → 通路が確保され、接触や転倒のリスクを防止

👉整理・整頓は「事故を未然に防ぐ」ための基本ステップです。

Before:床に散乱していた工具
After:棚に収納して通路確保

◎実践を通した現場の変化
以前は散らかった環境の中で「いつ事故が起きてもおかしくない」という危機感が、常に付きまとっていました。整理・整頓を徹底したことで、安全で清潔な空間となり、「安心して作業ができる環境」へと現場だけでなく、作業者の心理的安全性も高まりました。

4. 整理・整頓が事故防止と効率化につながる仕組み

散らかった現場は、事故リスクだけでなく効率低下の原因にもなります。

工具棚を整理 → 探す時間が減り、誤使用も防げる
部品棚を用途別に整頓 → 取り違えやムダな動作を削減
通路を確保 → 作業動線がスムーズになり、時間のロスがなくなる

👉 作業動線がスムーズになることで、生産性向上にもつながります。


実際に整理・整頓を徹底したことで、次のような効果が得られました。

①探し物が激減:必要なものがすぐ見つかるようになった
②無駄な質問が不要に:全員で配置を共有しているため、置き場所を人に聞く手間がなくなった。
・以前はベテランしか工具の場所を把握しておらず、若手は探すのに苦労していましたが、いまでは新人でも迷わず取り出せるようになりました
③スペースの有効活用:デッドスペースが解消され、広く効率的に動けるようになった
長田工業所の5Sスローガンは「あれどこいった?と言わせない!」です。必要なものは誰もが取り出しやすいところに置いてあります。毎回「あれどこ置いてある?」という言葉が聞こえたら、改善のチャンスです。

 5.小さな整理整頓から始める!安全と効率を両立させる第一歩

5Sをいきなり全体でルール化すると、形だけで終わったり反発が起きることがあります。 そこで大切なのは、小さく始めて成果を見える化することです。

✓  現場を振り返るチェックリスト
まずは自分の会社の現状をチェックしてみませんか?

▢ 工具や部品の置き場所を決めて、明記しているか?
床に放置された物はなく、通路が確保されているか?
▢ 探し物に 5分以上かかることはないか?
▢ 使うものは誰でも同じ場所にあると分かる状態になっているか?
▢ 使っていない物は デッドスペースを占有していないか?

👉 このように、まずは小さな課題抽出からスタートし、改善行動や効果を全員で共有することがポイントです。「やってよかった」という実感が広がることで現場のモチベーションが高まり、5Sは一過性ではなく “文化”として根付く ようになります。

まとめ

安全と効率はどちらかを優先するものではなく、両立できるものです。
その基盤となるのが「5S」であり、「整理・整頓」です。

・工具や部品の管理を徹底することで事故リスクを減らせる
・通路を確保し、作業動線を整えることで効率が上がる
・小さな改善を積み重ねることで、現場に“文化”として根付く

◎「どこから手を付けたらいいかわからない」場所への具体的なアドバイスが返ってきます。 小さな写真1枚からでも、現場改善の大きなヒントが得られます。

👉 まずは整理整頓という第一歩から始めることで、安全で効率的な現場は必ず実現できます。

整理整頓ができたら次は、その効率的な現場を維持するためのポイントを確認しましょう。
▶事故ゼロを目指す!5Sでつくる安全・効率的な職場環境

よくある質問(FAQ)

5Sってどこの会社でも同じようにできるの?

はい。

大きな投資を必要とせず、現場主導で始められるため、規模や業種を問わず取り入れやすいです。まずは整理・整頓から小さく始めるのが成功のポイントです。

労災ゼロを目指すには、まず何から取り組むべき?

物の管理を徹底することが第一歩です。工具や部品の置き場所を決めて表示し、床置きをなくして通路を確保するだけでも事故リスクを大幅に減らせます。

整理・整頓は「効率改善」にも効果があるの?

あります。
探し物や取り違えが減り、動線がスムーズになることで作業時間が短縮されます。実際に「探し物が激減」「新人でも迷わず作業できる」といった効果が報告されています。

5Sは一時的な取り組みになりがちでは?

小さな改善を積み重ねて成果を“見える化”すれば続けやすくなります。
例えば「整理した棚の写真をBefore/Afterで共有」するだけでも現場に達成感が生まれ、文化として根付きやすくなります。

 反発が出ないようにするにはどうすればいい?

いきなり全社ルール化せず、まずは一部エリアや一つの部署から小さく始めて成功体験を共有しましょう。「やってよかった」という実感が広がることで、自発的に取り組む雰囲気が生まれます。

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