「安全活動は続けているのに、なぜか事故が減らない」「毎回同じ注意をしても改善しない」
そんな“やってるつもり”の安全活動に、心当たりはありませんか?
現場の安全は、意識ではなくしくみで守るもの。
特別な設備がなくても、毎日の行動を少し変えるだけで、ゼロ災への一歩を踏み出せます。
この記事では、あんしんファクトリーLABOが、実際の製造現場で見えてきた事例をもとに、
今日から実践できる4つの取り組み方を紹介します。
「どこから始めればいいか分からない」と感じている方へ——
日々の行動を“しくみ化”につなげるヒントをお伝えします。
部下の「つい、うっかり」はリーダーの責任? ゼロ災を“文化”にするリーダーの思考習慣
「ちゃんと注意しろって言っただろ!」 万が一の事故の後、そう言ったとしても何の解決にもなりません。
工場の労災ゼロ達成の鍵は、作業員一人ひとりの意識はもちろんですが、それ以上に部下の「油断」や「形だけの安全活動」は、リーダーの働きかけ一つで変えられます。
「やらされ感を払拭し、部下が自ら動き出す」
そんな理想の現場を作るための、リーダーが今日から実践すべき3つの思考習慣をご紹介します。
習慣1:指示を「対話」に変える
“やれ”と伝えるだけでは、相手は自分で考える力を失ってしまいます。
NG例:「この手順書通りにやれ」
OK例:「この手順書で一番大事なポイントは何だと思う? なぜそう思う?」
安全ルールを「対話のきっかけ」と捉えましょう。
リーダーが率先して「なぜ?」を問いかけ、部下相手に考えさせ、意見を言わせる。この小さな習慣の積み重ねが、部下相手の中に「自分で考えて行動する」という主体性を育てます。全員で納得して作り上げたルールは、誰かに言われなくても守る「自分たちの約束」へと変わっていくはずです。
習慣2:過去の失敗を「未来の学び」に変える
ヒヤリハット事例や過去の事故映像は、最高の教科書です。しかし、ただ見せるだけでは効果は半減します。
NG例:「この映像を見て、各自注意するように」
OK例:「この事故、うちの現場だとどの工程で起こりそうかな? 防ぐために、明日からできることは何だろう?」
リーダーがすべきは、仲間が“自分ごと”として考えられる場をつくることです。
具体的な場面を想定させる質問を投げかけ、グループで議論させる。
この習慣が、チームのリスク察知能力を飛躍的に高め、「あの時話し合っておいて良かった」という未来の成功体験に繋がります。
習慣3:「安全」を“ポジティブな共通言語”に変える
「安全、安全」と連呼するだけでは、現場は息苦しくなるばかりです。
NG例:「とにかく安全第一だ!」
OK例:「〇〇さん、さっきの声かけ、すごく助かったよ!おかげで安心して作業できた。ありがとう!」
安全行動を具体的に褒め、感謝を伝える。安全確認をしっかり行った結果、スムーズに作業が進んだことを評価する。→“安全=チームを守るポジティブな行動”という空気を、現場のみんなで育てていくことが大切です。
👉️部下の安全は、あなたの手の中に
ゼロ災を生み出す現場の取り組み方で一番大切なことを最初に提示しました。リーダーの小さな思考習慣が、チームの行動習慣を変え、会社の文化を創ります。部下メンバーの安全は、リーダーであるあなたの手の中にあります。まずは明日からの声かけ一つ、問いかけ一つから、始めてみましょう。
危険映像で“自分ごと化”する時間をつくる
さて、ゼロ災現場で一番重要な大前提を提示しました。次は具体的な内容に入っていきます。まずは、チーム内で“危険の感じ方”のズレをなくすところから始めましょう。
危険意識の統一をしていく過程で、実際に他社などで起こった事故事例の振り返りが効果的です。しかし、「こんな事故があったぞ!」と事故の内容を言葉で聞くだけでは、どうしても他人事になりがちです。
映像で見ることで事故のスピード感や現場の状況がリアルに伝わり、「もし自分だったら」と具体的に想像しやすくなります。(例:あんしん財団 労働災害映像教材一覧)
実践のポイント
・月1回の研修や安全週間で映像を活用し、定期的に事故の危険性を意識させる
・5分程度の短時間視聴後にディスカッションを行い、現場での具体的な対策や改善案をまとめる
・映像で扱った事例に似た作業や状況が現場にないかをチェックし、日常の作業に反映させる
映像で学ぶことで、単なる注意喚起ではなく「自分には関係ない」という壁を壊し、危険を自分ごととして考えるきっかけになります。
また、事故の発生原因や対策の必要性を参加者全員で共有することで、チームとしての安全意識も自然に高まります。
情報を“止めない”しくみで安全を共有する
安全は「個人の注意」ではなく、全体で気づくしくみで守るものです。チームリーダーが作業員の危険行動やヒヤリハットがあったことを知らない状態では、対策の立てようがありません。
情報がスムーズに上がってくる体制を日頃より作ることを意識しましょう。
事例:ある製造現場での取り組み
ある製造現場では、Slackを活用して安全情報の共有を進めています。
・トラブル対応用のグループを整備
・【現場名】【状況】【対応】などの投稿フォーマットを作成
・管理者が「書き込み内容で評価は決まらない」と明言
その結果、誰でも安心して投稿できる環境が生まれ、危険情報が止まらず現場全体に伝わるようになりました。
多くの現場では、「上司に見られたくない」「責められるかもしれない」という心理が情報共有を妨げることがあります。だからこそ、“評価されない安心感”を先に示すことが、情報を止めないしくみづくりの第一歩になります。
すぐできる行動
・社内チャットに共有できる場を作る
・投稿フォーマット(例:【現場名】【状況】【対応】)を決める
・トップが最初に投稿して安心感を示す
報告が止まるような空気の漂う現場では、危険も止まりません。情報がスムーズになるべくリアルタイムに全体に行き渡るしくみになっていることこそが、現場を守る最前線になります。
「安全の基準」を一緒に決め、定期的に見直す
危険の感じ方は人によって違います。だからこそ、現場全員で共通のものさし(安全基準)をつくることが大切です。
実践例
・溶接作業での防護具着用基準や周囲への飛散防止対策など明確にする・「こうなったら危険」という状況を写真やイラスト付きで掲示する
・決めた基準を文書化し、新人教育や引き継ぎにも活用する
このように、現場の声を反映した“自分たちの基準”を持つことで、納得して守れるルールが根づきます。
すぐできる行動
・安全ミーティングで月1回、基準を1項目だけでも見直す
・決めた基準を掲示板やSlackにアップして共有する
安全基準は、つくって終わりではありません。作業環境も人も変わるため、定期的に見直すことで“今の現場”に合った安全基準をを保つことが大切です。そして何より重要なのは、現場で意見を聞くときの姿勢です。
「実際にやってみてどう感じたか」「やりにくい点はないか」といった声を丁寧に聞くことで、個人の経験を現場全体に活かすことができます。
まとめ
現場を変えるのは、特別な仕組みではありません。
声をかける、共有する、基準を一緒に見直す——
そんな日々の小さな行動が“ゼロ災を生み出す習慣”になります。
まずは明日の朝礼で、ひとつ質問をしてみましょう。
「最近ヒヤリとしたことはあった?」
その問いかけから、安全文化の第一歩が始まります。
さらにゼロ災の文化を根づかせるためには、「危険を見つけ、減らす力」を日常に組み込むことも欠かせません。
次の記事では、リスクアセスメントを“使えるしくみ”に変える現場のコツを紹介します。
一つひとつの行動を、しくみとして続けるためのヒントを一緒に見直していきましょう
よくある質問(FAQ)
- ゼロ災を続けるために、最初に取り組むべきことは?
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毎日の安全活動を“習慣化”することです。意識ではなく、仕組みとして継続できる形にするのがポイントです。
- 安全活動がマンネリ化したときの改善策は?
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「なぜやるのか」を再確認する時間を設けること。トップやリーダーが現場に出て一緒に点検することで、目的意識が戻ります。
- 小規模現場でもSlackのような情報共有は必要?
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はい。規模に関係なく、危険の“見える化”が重要です。掲示板やLINEなどでも代用可能です。
- 事故映像を見せると、怖がらせるだけにならない?
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見るだけで終わらせず、振り返りディスカッションを行うことで「自分の現場に置き換える」学びになります。
- 安全基準を定期的に見直す理由は?
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作業環境や人が変わるため、月1回見直すことで“今の現場”に合った安全基準を維持できます。



