MENU

フィードバックをしくみに!目的で動くゼロ災現場づくり

現場改善や安全活動は、ただ続けるだけでは成果が定着しません。一定期間活動した後に行う振り返りを通じて、改善策の精度を高め、PDCAを効果的に回すことが重要です。とくに現場をまとめるリーダーにとっては、この振り返りを“その場限り”にせず、フィードバックのしくみとして組み込むことがポイントになります。

本記事では、あんしんファクトリーLABOが実際の製造現場で見てきた事例をもとに、目的に沿って振り返りとフィードバックを進める手順と実践のコツを紹介します。

目次

まずは目的を再確認する

振り返りの第一歩は、「そもそも、なぜこの活動をしているのか」をチームで共有することです。

改善活動などを進めていくと、どうしても目的があやふやになり、作業が形骸化してしまいます。目的が曖昧なまま進めると、改善策が表面的になり、PDCAサイクルが空回りします。

目的を軸に振り返ることで、議論がぶれずに次の改善へつながる具体的な気づきを得られます。

そのために、リーダーが意識すべきことは以下の2点です。

①目的の言語化

・「安全を守る」「効率を上げる」などの抽象的な言葉ではなく、現場の成果に結び付けて「なぜこの取り組みを行うのか」「そもそもなぜこの取り組みを行うようになったのか」を再度説明します

・「MTGで話している内容を精査し、報告だけで終わっている時間を削減する」

・「毎日移動している備品を本当に動かす必要があるのかを見直す」

・「道具や資料の配置を工夫し、準備や片付けの手間を減らす」

このように“何を・なぜ・どのように改善したいのか”を具体化することで、全員が共通の目的意識を持てます。

②メンバーの理解を確認する

目的がリーダーだけに伝わっていても、現場は動きません。チーム全員が理解し、納得できているかを質問や会話から確認しましょう。専門用語や背景が伝わっていない場合は、丁寧に補足することが大切です。この2つを意識することで、振り返りの方向性がそろい、PDCAサイクルを目的に沿って正しく回すことができます。

特に目的が曖昧だと、せっかく振り返りを行っても改善がゼロに戻ってしまう可能性があるため、注意が必要です。

実践内容の確認と現状把握

目的を共有したら、次はこれまでの取り組みを目的に照らして確認します。この段階では「問題を探す」のではなく、「現状を正確に理解する」ことが重要です。

チェックすべき3つの視点

①目的から外れていないか

・安全・効率・品質などの面で、本来の目的に沿った活動になっているかを確認します。

・「安全のため」なのか「効率のため」なのかを整理し、目的があいまいな作業は一度立ち止まって見直します。

②遠回りしていないか

・目的を達成するうえで、もっと簡単・早くできる方法はないかを検討します。

・報告だけで終わるMTGや、毎日繰り返す備品移動は見直しのチャンスです。

③採算が合っているか

・時間・人手・コストと成果のバランスが取れているか。

・労力の割に成果が小さい場合は、方法を変えるか、そもそも続ける必要があるのかを見直しましょう。

この段階で現状を目的軸で正しく把握することが、次の「違和感や無駄の深掘り」や改善策の精度を高めるカギになります。

違和感や無駄を深掘りする

現状を把握したら、次は作業の中にある小さな違和感や無駄を掘り下げる段階です。ここでのポイントは、「なんとなく」「気になる」といった抽象的な感覚をいかに具体的な行動に落とし込むことができるかです。

①小さな違和感を拾う

・「毎回この作業で少し時間がかかる」「あの道具を取りに行くのが面倒」など、日々の“引っかかり”を言葉にして出し合います。

・感覚的な気づきでも構いません。まずは見える化し、共有することが大切です。

② 原因を“人”ではなく“しくみ”に求める

・「誰が悪いか」ではなく、「なぜこの作業がやりにくいのか」を考えます。

・道具の配置、作業手順、情報共有の方法など、しくみの面から原因を探すことで、再発を防ぐ本質的な改善につながります。

チームで改善策を練る

・個人のアイデアにとどまらず、チーム全体で意見を出し合うことで、実践的で持続可能な改善策が生まれます。

・複数の視点で検討することで、見落としが減り、全員が納得して実行できる改善につながります。

こうして違和感を深掘りすることで、「なんとなくの不便」が具体的な「次の改善テーマ」に変わり、PDCAが生きたサイクルとして回り始めます。

改善策のブラッシュアップ

改善案を出す段階でのポイントは、新しい作業を増やすのではなく、既存の作業を深掘りして改善することです。

・無駄な作業を削減する
必要のない作業や重複している作業を見直し、効率化を図る。

作業の順序や方法を見直す
作業手順を整理し、よりスムーズに目的を達成できる方法に変更する。

チーム全員で合意し、実行可能な形にまとめる
改善策は個人任せにせず、チーム全体で確認し、実践できる形に整える。

振り返りは成果を確認する場や反省会ではなく、「改善のためのフィードバックの場」として位置付けることで、現場全体の精度向上につながります。

振り返り事例の紹介

事例紹介ある製造現場での取り組み

実際の現場では、振り返りを通じて次のような改善が生まれました。
以前、黒板と一体型の物置を朝礼場所に設置していたため、朝夕のたびに道具を移動していました。その結果、1日あたり約10分の運搬時間が発生し、作業前後の負担となっていました。「毎日動かしていること自体がおかしいのでは?」という小さな違和感をきっかけに社内で振り返りを行い、現状の作業は必ずしも必要ではないと判断し、改善策を検討しました。

黒板を撤去し、道具の配置と種類を見直した結果、次の効果が得られました。

・道具の移動が不要になり、1日10分の作業時間を削減
・使用スペースが広がり、安全距離と視認性が向上

この事例では、原因を「人」ではなく「配置や流れ」に求め、指摘ではなく「どうしたら次は楽になるか」という視点で議論を進めました。その結果、現場全体の安全性と効率が同時に向上し、振り返りの効果を実感することができました。

小さな違和感も見逃さず振り返りで深掘りすることで、現場の改善は着実に進みます。

まとめ

振り返りで最も大切なのは、目的を軸にチームで活動を見直すことです。

手順はシンプルです。

①実践内容の確認:目的に沿って正しく進められているかを把握する
②違和感や無駄の深掘り:小さな気づきをしくみ視点で分析し、具体的な行動に落とし込む
③改善策のブラッシュアップ:チーム全員で合意した形にして、だれが、いつする、といった具体的な行動を実行する

これを習慣化することで、安全と効率を両立した現場文化が自然に育まれます。ここまでで、「自分たちで気づき、改善する力」を高めることはできます。しかし、どれだけ振り返りを重ねても、“慣れ”ゆえに自分たちでは気づきにくい危険が残ることもあります。

そこで次の記事では、工場の安全は“慣れ”が盲点?外部視点で気づく見落としリスクと対策を紹介します。
一緒に、ゼロ災現場をより確実なものにしていきましょう。

よくある質問(FAQ)

フィードバックの時間がもったいないのでは?

むしろ最も“費用対効果の高い時間”です。
目的を明確にすれば、ムダな作業や会議を減らすきっかけになります。最初は週1回・10分でも構いません。続けるうちに、改善がしくみ化されていきます。

メンバーが意見を出してくれません。

「どこで時間がかかった?」「どこがやりにくかった?」など、場面を具体的に聞くと意見が出やすくなります。否定せず受け止める姿勢が、発言のハードルを下げます。

フィードバックが反省会になってしまいます。

「なぜ失敗したか」よりも「次はどうすればうまくいくか」に焦点を当てましょう。良かった点も合わせて確認することで、チームが前向きに動けるようになります。

 改善が続かない時は?

続かないのは「やり方」よりも「しくみ」が原因です。「だれがやってもそうなるようになるしくみ」を編み出していない、ということです。実施をスケジュールに組み込む、担当を持ち回りにするなど、“続けるための段取り”を見直してみましょう。

リーダーとして何を意識すればいい?

まず“全体を見える化”すること。問題を指摘するよりも、改善の見本を示し、メンバーが気づきを出しやすい雰囲気をつくることがリーダーの役割です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次